津軽塗
幾重にも色漆を塗り重ねて研ぎを繰り返す「研ぎ出し変わり塗り」と呼ばれる技法で知られる津軽塗は非常に丈夫で利便性が高く、優美な塗りが特徴です。
写真提供:Andrea Rüeger, Swiss
漆の塗膜は現代の一般的な化学塗料よりも強靭で優れた性質をもっており、酸、アルカリ、塩分、アルコールに強く、耐水性、断熱性、防腐性が高いのが特徴です。
漆の塗膜がすり減っても塗り直して新品同様に仕上げたり、器自体のカケやヒビ、塗膜の剥離なども漆繕い、補修、金継ぎ仕上げ等で修繕することができます。
また、漆器に付いた大腸菌は24時間後にほぼ死滅するなど、漆には優れた抗菌効果があり、漆器は100%天然素材のため化学製品や合成物質を含まず、安心して使用できます。
ツヤツヤとした見た目は高級感が非常に高いですが、使用時には滑ることなく、口あたりの良さ、唇にふれた時のやわらかさ、軽くて使いやすい手ざわりなどのおかげで、食事の邪魔をしません。
おしゃれで食卓に彩りを与えることもでき、食器に非常に向いています。
昔から日本人の考えの中にあった1つの製品を長く愛用することは、SDGsの考えが主流の現代でも大切とされており、漆はその手助けをすることができます。
写真提供:Andrea Rüeger, Swiss
幾重にも色漆を塗り重ねて研ぎを繰り返す「研ぎ出し変わり塗り」と呼ばれる技法で知られる津軽塗は非常に丈夫で利便性が高く、優美な塗りが特徴です。
漆の産地でもあるため、漆本来の美しさが際立つよう、あえて余分な装飾を施さないのが特徴です。
日本で縁起が良いとされる「松竹梅」の樹木や糸車と「破魔矢」と呼ばれる魔物を払う矢をあしらった「会津絵」が有名で、その他にも豊富な技法を持っています。
下地を作る際に、消耗しやすい部分に布を漆で貼り、さらにその上に「輪島地の粉」を混ぜた漆を塗ることで堅牢な漆器になっています。
高度な「蒔絵」の技法による、豪華できらびやかな美しさが特徴です。
かつてこの地が加賀と呼ばれていたことから「加賀蒔絵」と呼ばれています。
下地の木目の美しさと、木地の表面に凸凹の模様を施す。「加飾挽き」と呼ばれる技法が特徴です。
木目の美しさを活かした、素朴ながらも透明感のある琥珀色が特徴となっています。
非常に丈夫で実用面に優れた漆器。
素早くきれいに塗られた艶やかで深い独特な光沢も特徴です。
平安時代から連綿と伝わり、茶の湯の文化とともに広まった漆器らしく繊細さと内面的な深い味わいを備えており、
洗練された優美なデザインが特徴です。
下地の黒漆の上に朱漆を塗った後で、あえて朱漆を研ぎ出し(炭などで表面の漆を研ぐ)、下地の黒をわずかに見せる「根来塗り」と呼ばれる技法が有名です。
塗りを重ねた後、彫刻刀で彫り込むことにより、独特な陰影を生み出す線模様が特徴的な「象谷塗り」と呼ばれる手法でよく知られています。
朱と黒の漆を用い、沈金、螺鈿、堆錦などの加飾を施すことで華やかに仕上げられています。ハイビスカスなどの南国的な模様も特徴的です。
漆はウルシノキの樹皮に傷をつけ、にじみ出てくる乳白色の樹液を精製したものです。採取できる漆は1回につき5グラム程度で、1年かけても1本の木から200グラムしか採れない貴重なものです。
漆は湿度が75%~85%、温度が20度~30度という条件下で酵素が空気中の水分から酸素を取り込み、液体から固体になります。
つまり、熱や風をあてて水分を蒸発させる普通の乾燥とは逆に、空気中の水分を取り込んで乾くのです。
かつては日本各地で生息していたウルシノキは年々減少傾向にありました。近年、国内の重要文化財の修復に国産漆を使用する施策により、国産漆の生産量は増加傾向にあります。しかし、国内で流通する漆の90%以上は中国からの輸入に依存しています。
生漆からくろめ作業を終えた漆(くろめ漆、透漆)のこと*で、このまま木地に塗ると少し透明感のある茶褐色の仕上がりになります。
*くろめ漆…生漆を40度前後に加熱しながら、水分を除去したもの。
透明度を高めて塗膜の光沢を出すために、赤蝋色に乾性油脂を加えたもので、様々な色粉を練り合わせて色漆を作るのに適しています。
くろめ漆に雌黄という黄色鉱石を入れて黄色みを出した、油を含まない漆で、蒔絵で背景を描く際の金梨子地粉を塗り込む工程で使います。
くろめ漆に硫化鉄を加えて、黒く染めたものです。
昔は油煙や松煙のすすを加えて黒漆を作っていました。
油分などを加えない黒漆で、半艶です。墨などで磨き上げる(蝋色仕上げ)ことで美しい光沢のある仕上がりになります。
黒蝋色漆に油分を加えて、塗膜に光沢が出るように調整されています。
生漆からくろめ作業を終えた漆(くろめ漆、透漆)のこと*で、このまま木地に塗ると少し透明感のある茶褐色の仕上がりになります。
*くろめ漆…生漆を40度前後に加熱しながら、水分を除去したもの。
透明度を高めて塗膜の光沢を出すために、赤蝋色に乾性油脂を加えたもので、様々な色粉を練り合わせて色漆を作るのに適しています。
くろめ漆に雌黄という黄色鉱石を入れて黄色みを出した、油を含まない漆で、蒔絵で背景を描く際の金梨子地粉を塗り込む工程で使います。
くろめ漆に硫化鉄を加えて、黒く染めたものです。昔は油煙や松煙のすすを加えて黒漆を作っていました。
油分などを加えない黒漆で、半艶です。墨などで磨き上げる(蝋色仕上げ)ことで美しい光沢のある仕上がりになります。
黒蝋色漆に油分を加えて、塗膜に光沢が出るように調整されています。
金粉等を蒔いて文様を表すことから「蒔絵」と呼ばれる日本で独自に発達した代表的な技法で、蒔絵には文様を表す蒔絵と、梨地といったベースとなる地文を作るものがあります。
写真提供:石川県観光連盟
夜光貝やアワビ、蝶貝などの殻の真珠層の部分を削って薄い板状にしたものを文様の形に切って、塗面に貼ったりはめ込んだりする技法です。
漆で模様を描いた上に、細かくしたウズラなどの卵殻を貼り、漆を塗り込み研ぎ出す技法です。色漆では難しい鮮やかな白色を表現することができます。
写真提供:Salome Lippuner, Swiss
漆の塗面に沈金刀で文様を施します。その彫られた文様の刻み部分に金箔や金粉を擦り込む、繊細な表現に優れた技法です。
蒟醤用の特殊な刃物で塗面に文様を彫り、そこに色漆を埋め込んで砥ぎ出す技法です。
写真提供:香川県漆器工業協同組合
異なる色の色漆を数十回から数百回にも塗り重ねて塗面をつくり、そこに彫刻刀で文様を彫り出していきます。さまざまな色の層をつくりだすことができます。
かつて盛んに行われていた漆の採取・漆器の製造は、海外との交易に伴う漆器の輸出量増加により国産漆だけでは需要を賄いきれなくなり、中国からの輸入が増えました。
現在では市街地化が進んで漆の木を育てる場所が減ったことや、漆搔き職人の減少により漆の国内生産量は急減し、更に国内消費の90%以上は輸入漆で賄われています。
文化財の修復に国産漆を使う取り組みや職人の育成が始まり、国内の漆生産量は微増したものの、近年の不景気によって高い漆器は敬遠され、安いプラスチックの器を求める人が増えています。
国産漆を次世代に残していくため漆にしかない魅力を知っていただき、長年にわたって愛用する豊かさを楽しむなど、日々の食卓に漆器のある生活をはじめてはいかがでしょうか?
写真提供:Andrea Rüeger, Swiss
写真提供:Andrea Rüeger, Swiss
写真提供:Andrea Rüeger, Swiss
ご不明点やその他お問い合わせがございましたら、必要事項をご入力のうえ送信ください。担当者より近日中にご連絡いたします。
万が一返信がない場合は、お手数ですが06-6429-0878へお電話ください。
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